2009年 03月 11日
奇跡のリンゴ |
2年前にNHK プロフェッショナル仕事の流儀で放送された「リンゴは愛で育てる」。私もその番組を見て深く深く感動した。心に残る番組の一つとなっている。そしてそれが「奇跡のリンゴ」というタイトルの一冊の本となった。絶対に不可能と言われた、無農薬でリンゴを育てている青森のリンゴ農家、木村秋則さんの記録だ。
この本を読むまで知らなかったのだけれど、リンゴというものは作物の中でも特に農薬を必要とするらしい。クラブアップルなどの原種のリンゴは違っていただろうけど、品種改良を重ねて人間の口に合うように作られたリンゴは、病害虫に侵されやすく、細かい農薬散布が欠かせないそうだ。
あることがきっかけでリンゴの無農薬栽培を始めた木村さんは、その後壮絶な8年間を過ごすことになる。どれだけ壮絶だったかは、とてもブログでは書き表せない。農薬散布を止めてしばらくは今までと変わらずに葉っぱを茂らせているように見えたリンゴの木。でもやがて葉が黄色くなって次々と落葉していく。その後は嵐のような害虫被害。木村さんは人間が口にしても害のないもので、農薬の代わりになるものがないかずっと探し続けていた。だが効果のあるものは見つからず、害虫をひたすら手で取り除くことを黙々とする他なく、リンゴの木たちは次第に弱っていく。雑草がリンゴの木の栄養分を取らないように、雑草は徹底的に刈り込み、大量の枯葉で作った堆肥をすき込む、それでも木村さんのリンゴの木が弱っていくのは止められなかった。
追い詰められ、幻覚まで見るようになった木村さんは、ある晩、リンゴの無農薬栽培に固執した自分さえいなくなれば家族も楽になると、自らの命を絶つためのロープを持って山に登る。そして月明かりの山の中で美しく葉を茂らせたリンゴの木に出会う。実際はそれはドングリの木だったのだけれども、そのときの木村さんにとってはどちらでもよかった。山の中の木は、農薬だの肥料だの一切与えられたことはないはずだ。それなのにどうしてこんなに見事に葉っぱを茂らせることができるのだろう。
それが奇跡のリンゴの木を実らせるきっかけとなった。今まで地上部しか見ていなかったことに気がついた木村さんは、山のドングリの木を元気に育てる土に目を向ける。
木村さんは言う。化学肥料であれ有機肥料であれ、それは一時的なものであって、その時に野菜や果物はおいしくなるかもしれないけれども、使い続けるとやがて土そのものがダメになる。実際ロシアやアメリカの大規模農地は砂漠化が進んでいるらしい。山の土は「チッソ・リン酸・カリ」なんてまったく関係なく、その樹木に適した栄養分を蓄えている。木がしっかりと根を張れるよう、過剰に養分は与えない。
木村さんはリンゴ園を自然の山と同じような条件にし、リンゴが自分の生命力で育つことに手助けをするということに力を注ぐ。やがてリンゴの木たちは少しずつ少しずつ元気を取り戻し、無農薬にしてから8年目の春に7個の花を付けた。800本あったリンゴの木の半分が枯れ、400本になってしまっていた。その400本の中でたったの7個の花である。そしてその翌年、木村さんの愛するリンゴの木たちは、一斉に花を咲かせた。
木村さんのリンゴはとびきりおいしいという。この本の著者が、見かけは何の変哲もない木村さんのリンゴに初めてかじりついたとき、涙が出そうになったと、本の最後に書いていた。人はあまりに美味しいものを食べた時に涙を流すことがあると、初めて知ったと。そういえばやはりある番組で、老舗の料亭の料理長が炊いた普通の白いご飯を食べた女性アナウンサーが、炊き立てのご飯を口に入れた瞬間に涙をこぼしたのを見たことがある。
食べたいなぁ、木村さんのリンゴ。ジュースでもいいから飲みたい。
この本を読むまで知らなかったのだけれど、リンゴというものは作物の中でも特に農薬を必要とするらしい。クラブアップルなどの原種のリンゴは違っていただろうけど、品種改良を重ねて人間の口に合うように作られたリンゴは、病害虫に侵されやすく、細かい農薬散布が欠かせないそうだ。
あることがきっかけでリンゴの無農薬栽培を始めた木村さんは、その後壮絶な8年間を過ごすことになる。どれだけ壮絶だったかは、とてもブログでは書き表せない。農薬散布を止めてしばらくは今までと変わらずに葉っぱを茂らせているように見えたリンゴの木。でもやがて葉が黄色くなって次々と落葉していく。その後は嵐のような害虫被害。木村さんは人間が口にしても害のないもので、農薬の代わりになるものがないかずっと探し続けていた。だが効果のあるものは見つからず、害虫をひたすら手で取り除くことを黙々とする他なく、リンゴの木たちは次第に弱っていく。雑草がリンゴの木の栄養分を取らないように、雑草は徹底的に刈り込み、大量の枯葉で作った堆肥をすき込む、それでも木村さんのリンゴの木が弱っていくのは止められなかった。
追い詰められ、幻覚まで見るようになった木村さんは、ある晩、リンゴの無農薬栽培に固執した自分さえいなくなれば家族も楽になると、自らの命を絶つためのロープを持って山に登る。そして月明かりの山の中で美しく葉を茂らせたリンゴの木に出会う。実際はそれはドングリの木だったのだけれども、そのときの木村さんにとってはどちらでもよかった。山の中の木は、農薬だの肥料だの一切与えられたことはないはずだ。それなのにどうしてこんなに見事に葉っぱを茂らせることができるのだろう。
それが奇跡のリンゴの木を実らせるきっかけとなった。今まで地上部しか見ていなかったことに気がついた木村さんは、山のドングリの木を元気に育てる土に目を向ける。
木村さんは言う。化学肥料であれ有機肥料であれ、それは一時的なものであって、その時に野菜や果物はおいしくなるかもしれないけれども、使い続けるとやがて土そのものがダメになる。実際ロシアやアメリカの大規模農地は砂漠化が進んでいるらしい。山の土は「チッソ・リン酸・カリ」なんてまったく関係なく、その樹木に適した栄養分を蓄えている。木がしっかりと根を張れるよう、過剰に養分は与えない。
木村さんはリンゴ園を自然の山と同じような条件にし、リンゴが自分の生命力で育つことに手助けをするということに力を注ぐ。やがてリンゴの木たちは少しずつ少しずつ元気を取り戻し、無農薬にしてから8年目の春に7個の花を付けた。800本あったリンゴの木の半分が枯れ、400本になってしまっていた。その400本の中でたったの7個の花である。そしてその翌年、木村さんの愛するリンゴの木たちは、一斉に花を咲かせた。
木村さんのリンゴはとびきりおいしいという。この本の著者が、見かけは何の変哲もない木村さんのリンゴに初めてかじりついたとき、涙が出そうになったと、本の最後に書いていた。人はあまりに美味しいものを食べた時に涙を流すことがあると、初めて知ったと。そういえばやはりある番組で、老舗の料亭の料理長が炊いた普通の白いご飯を食べた女性アナウンサーが、炊き立てのご飯を口に入れた瞬間に涙をこぼしたのを見たことがある。
食べたいなぁ、木村さんのリンゴ。ジュースでもいいから飲みたい。
by Treehouse-in-k
| 2009-03-11 08:08
| 樹木